常に挑戦。必死さが育てた日系最大規模の建築設計&インテリアデザイン企業。

M'S DESIGN (THAILAND) CO., LTD

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常に挑戦。必死さが育てた日系最大規模の建築設計&インテリアデザイン企業。

日本を離れゼロからの船出。

直球勝負の人だ。M’S DESIGN (THAILAND) CO., LTDの代表を務める宮崎氏は、百戦錬磨には違いないが、彼のタイでの半生にはどこか夏の高校球児にも似た清々しさを感じた。 2010年6月にタイで創業。今や従業員数40名以上。資本金2500万バーツを有し、タイで展開する日系最大規模の建築設計デザイン企業。レストランやオフィスなど中小規模の設計・施工、内装から大型商業施設や高層ビルの設計まで、あらゆる設計デザインを行う。一見順風満帆にも思えたが、宮崎氏は設立当時を「そりゃもう、大変でした」と笑顔で振り返る。 日本では第一線のプランナーとして、建築設計事務所&インテリアデザイン事務所を経営していた。その前は建築会社や設計事務所でキャリアを積みながら「いずれ独立するなら、意匠だけでなく電気や給排水、空調、換気など設備設計の技術が必要」と設備会社にも9年勤めた。突然不幸が襲った。共に事務所を立ち上げた最愛の妻が急病で他界。事務所は休眠し半年間何もせず過ごした。そんな中、お付き合いのあるゼネコン会社から声がかかる。「気分転換に海外で仕事をしてみないか」。縁があってそのゼネコン会社の設計部へ現地採用の立場で12年振りのサラリーマンとして訪タイした。 タイは初めて訪れる土地だった。言葉も違えば食文化も違う。慣れない海外生活は傷心を紛らわせるのに調度良かった。会社を1年ほどで退社。日本に戻って事務所を再開する気にはならず「思いつき」でタイに会社を立ち上げた。

フィールドはタイからASEANへ。

当然ゼロからのスタートだった。事務所は知り合いの会社の会議室の片隅を間借りさせてもらった。タイ人スタッフ4名を雇った。「下請けはやりたくなかったので、当時はローカルのコンペばかりで戦っていました。しかし全く勝てない。設立して1年間は本当に仕事がなくて、日本で蓄えていた資金を食いつぶしていく日々でした」と当時を振り返る。 カオヤイのリゾートホテルのコンペで勝つことができた。決して高くない設計料だったが、そこから少しずつ業績と知名度は上向いていったという。何かタイでのコツを掴んだのかと伺うと「運です」と宮崎氏は笑う。「生きる」ために必死に、がむしゃらに戦ってきただけ。仕事で最も大切にしているものは「人間関係」というが、従業員も取引先も、そんな宮崎氏の必死さ、ひたむきさに徐々に心を打たれていったに違いない。 「建築プロジェクトにおいて、弊社が関わる部分は全体の3%に過ぎない。しかしその3%でプロジェクト全体の成否が決まる。だから私たちはそのわずか3%のために200%の力を出し切ります」(宮崎氏)。 2020年度にはタイのMAI市場にて上場させることが目標という。直近では、チャオプラヤー川西岸に完成予定の「サイアム高島屋」の売り場の設計。またアソークに2020年完成予定でタイでは初の100%日本出資となる「ソラリア西鉄ホテルバンコク」のコンセプトデザイン及びデザインコーディネーターとして活躍している。 またフィールドはタイにとどまらず、ASEAN全域を視野に入れている。2017年にはミャンマーのヤンゴンに合弁の現地法人M'S-GK DESIGN CO.,LTD.を設立。翌年にはヤンゴンに日本人設計者としては初の高層30階建ての複合ビル竣工が控えている。どんな現場であれ、全身全霊をかけた直球勝負。同社の挑戦はどこまでも続いていくだろう。

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